藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖=20)が4連覇を目指す渡辺明名人(38)に先勝した、将棋の第81期名人戦7番勝負第2局(静岡市「浮月楼」)は27日、先手の藤井が43手目を封じ、初日を終えた。2日目の28日は午前9時、封じ手を開封して再開される。
「封じます」。手番を持っていた藤井が外して右横に置いていたマスクをつけ、正座して宣言した。午後6時30分、立会人の青野照市九段(70)が「次の手を封じてください」と声を掛けてから2分後だった。
午前9時から始まった対局は、居飛車で戦うか振り飛車にするか、態度を明確にしない「作戦巧者」の渡辺に対し、急戦調だった藤井が自在に持久戦策を取る。20手に達しないうちに早くも前例から離れた。
一見、穏やかな進行だが、どこで速攻もあるかもしれない。盤全体を使っての駒組みで、細かな駆け引きが水面下で続く。午後からはお互いに長考し、1手ごとに時間を費やした。大して駒がぶつからないまま、矢倉に構えた。
まるで嵐の前の静けさ。藤井は1筋の歩を伸ばしている。渡辺は9筋に飛車を展開している。両者、右端に攻めの手掛かりを求めた。第1局と同じ43手目での封じ手。28日午前9時、それを開封して再開される。どちらの読みや構想力が上回るのか。名人戦「駿府春の陣」2日目は、風雲急を告げる激しい戦いになりそうだ。【赤塚辰浩】
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