嵐の松本潤(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)は23日、第28回が放送され、中盤のクライマックスにして戦国最大のミステリー「本能寺の変」(天正10年、1582年)を迎えた。「本能寺の変」が描かれる大河は18作目だが、今作は織田信長と徳川家康の絆を全面に押し出した異色の結末。俳優の岡田准一(42)が初回から強烈なインパクトを刻み、ドラマを牽引した孤独なカリスマの最期に、SNS上には「岡田信長ロス」が広がった。同回を担当したチーフ演出・村橋直樹監督に撮影の舞台裏を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。
第26回「ぶらり富士遊覧」(7月9日)のラストで、徳川家康(松本潤)が「信長を殺す。わしは、天下を獲る」と衝撃発言。SNS上には「家康黒幕説」が噴出した。
第27回「安土城の決闘」(7月16日)。近江・安土城、祝宴の饗応役は明智光秀(酒向芳)。招かれた家康は“淀の鯉が臭う”と言いがかりをつけ、不手際に激高した織田信長(岡田准一)は明智を解任。京の本能寺で信長を討つべく、家康は明智を遠ざけることに成功した。
信長は家康への“プロポーズ”「俺の側で、俺を支えろ」が叶わず。「京で待ち伏せして、俺を討つつもりか。図星か」と家康の動きは想定内だったが「俺はわずかな手勢を率いて、京に向かう。本当におまえが俺の代わりをやる覚悟があるなら、俺を討て。待っててやるさ。やってみろ」の予告通り、本能寺入りした。手勢は100。
そして、第28回「本能寺の変」(7月23日)。家康は信長を討った後の準備も抜かりない。京を離れ、和泉の貿易都市・堺へ。有力者と親交を深めた。しかし、お市の方(北川景子)と遭遇。「兄は決して、あなた様には手を出しませぬ。あなた様は、兄のたった一人の友ですもの」。家康の決心が揺らいだ。
織田信秀(藤岡弘、)は幼き信長に「誰よりも強く、賢くなれ。身内も家臣も、誰も信じるな。信じられるのは、己一人」。家督を譲る際には「(それが)どうしても堪え難ければ、心を許すのは一人だけにしておけ。こいつになら、殺されても悔いはないと思う友を、一人だけ」。それは家康だった。
一晩中、悩み抜き、家康は「決断できぬ」と涙。しかし、その間、千載一遇のチャンスに、明智は「時は今 雨が下知る 五月かな」。首尾よく本能寺を襲撃。家康は先を越された。
大軍勢の光秀に狙われた家康は、家臣団と堺から逃走。山道、敵に相対しながら、脳裏には信長との思い出が甦る。炎に包まれた本能寺。信長は「家康…どこじゃ…どこにいる…家康…」。障子を開けると、眼前には明智。「なんだ、おまえか」「やれんのか!金柑頭。俺の代わりが!」。家康は「さらば、狼。ありがとう、我が友」――。信長は燃え盛る炎の中へ消えていった。
主人公・光秀と信長の友情を描いた2020年の大河「麒麟がくる」も新解釈だったが、今作は家康&信長の関係を初回から「白兎と狼」として濃密に紡いできた。これが“独創的な本能寺”に昇華した。
村橋監督は「2人の関係は『ブロマンス』(男性の熱い友情、精神的なつながりを意味するBrotherとRomanceの合成語)だなと思います。中国の故事だと『刎頸の交わり』。裏切りが日常茶飯事の戦国時代において、信長と家康の同盟が約20年も続いたのは珍しいことで、2人の間には単なる利害関係だけじゃない何かがあったのかもしれません。2人の個人的な感情を軸に、社会的大事件である本能寺を描き切るのも面白いと思いました」と振り返る。
信長のラストシーン。「どこじゃ…家康」は台本通りだが、家康を探し求めて彷徨う姿を強調したのは、岡田のアイデアだった。「なので、目の前に明智を確認した時は、信長はある種、失望していますよね。怒りよりも、驚きよりも、家康ではなかったことへの失望。岡田さんから素晴らしいお芝居をもらいました」と明かした。
第14回「金ヶ崎でどうする!」(4月16日)、岡田の目に光った涙が“伏線”となった。
敦賀・金ヶ崎城、酒席。退却をめぐり、信長は家康と論戦。弟分の最初の反抗だった。
家康「お主を信じられん者もおる!」
信長「お主はどうなんじゃ。おまえも俺を信じぬのか!信じぬのか!」
家康「分からん。おまえの心の内など分かるもんか!」
信長「(目を赤くし)出ていけ、出ていけ!おまえの顔など二度と見たくない」
台本に涙の描写はなかった。村橋監督は「僕の担当回じゃなかったんですけど、現場でお芝居を見て驚きました。台本を読んだ上では、お互いの主張をぶつけ合うシーンではありましたが、涙を流すような場面とは思っていなかったので。涙の真意を岡田さんに聞いたら『いやぁ、何だか(涙が)出てきちゃったんだよ』と。これは絶対、本能寺に生かさなくてはいけないと思いました。信長の家康への特別な感情が、これほど強く、自然と湧いている。2人の関係で描き切っていいんじゃないかと、背中を押してもらいました。『どうする家康』の本能寺は信長と家康の総決算になりましたが、あの信長の涙から始まったんじゃないかと思っています」と振り返り、感謝した。
◇村橋 直樹(むらはし・なおき)2010年、中途採用でNHK入局。初赴任地は徳島放送局。13年からドラマ部。演出の1人を務めた18年「透明なゆりかご」(主演・清原果耶)、19年「サギデカ」(主演・木村文乃)が文化庁芸術祭「テレビ・ドラマ部門」大賞に輝いた。大河ドラマに携わるのは14年「軍師官兵衛」(助監督)、17年「おんな城主 直虎」(演出、第28回・第32回を担当)、21年「青天を衝け」(セカンド演出、全41回中9回を担当)に続き4作目。今作は第2回「兎と狼」、第3回「三河平定戦」、第4回「清須でどうする!」、第11回「信玄との密約」、第12回「氏真」、第18回「真・三方ヶ原合戦」、第25回「はるかに遠い夢」、第28回「本能寺の変」を担当している。
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