フランス発祥の老舗洋菓子店「ベイユヴェール」に、酷似したデザインのケーキを販売されたとして、東京都在住のフラワーケーキデザイナーがやりきれなさを訴えている。酷似商品は2個あり、バタークリームで作った花を愛らしく飾った「フラワーケーキ」と呼ばれる作品。色合いや花の形だけでなく、細かな配置までそっくり。女性は「何度も悩みながら一つひとつ時間を掛けた作品だけに、とても悲しい」と話す。
女性は、東京都でアイシングクッキーとケーキ教室を開く義山友紀さん(35)。北海道にあるカフェ「Flower Picnic Cafe」のフラワーケーキデザイナーでもある。
ケーキの酷似を発見したのは12月8日。教室に通う生徒からメールで「あまりにも先生のケーキと似ている商品が販売されているのですが…」と写真が送られてきた。見ると、2019年に義山さんが作った作品と、カフェスタッフが作った作品の2つにそっくり。「小さな花の位置まで一緒。最初は信じられないくらいで、何でそこまでしたのかな、と本当にショックだった」と話す。悲しみのあまりツイッターに投稿すると「これだけ多くの要素が全て一致するなんて有り得ない」「酷い…これは悲しくなりますよ…」などと多くの声が寄せられた。
電話での謝罪はなく「私たちもフラワーケーキへの愛がある」
その後、ベイユヴェールの事業を担当する株式会社「ティーケーシン」に電話。担当者からは翌日に折り返しがあり、第一声は「酷似している点は認める」だった。義山さんは酷似した経緯や、どのような思いでデザインしたのかを答えてほしい、と要求。事実を確認するので1週間ほしいと言われた。その間、相手からの謝罪はなく、最後にはこう言われたという。「一つ言いたいのですが、私たちも義山さんと同じで、美しいフラワーケーキを届けたいという思いでやっていて、フラワーケーキへの愛があるんです。それは分かってください」。
「人として感覚が違うと思いました。勝手に一緒にしてほしくない」と悔しそうな義山さん。そう思う背景には、フラワーケーキを習得するのに苦労した思いがある。大学卒業後、客室乗務員として働いていた義山さんがケーキの世界に足を踏み入れたのは2017年。韓国へ旅行に行った時にフラワーケーキに出会い、こんなかわいいものを作りたいと思ったという。当時、日本では珍しく教室がなかったため、韓国の現地で習い始め、慣れない土地で韓国語と英語を使って意思疎通。バタークリームから繊細な花を表現する技術を習得、東京に戻って教室を開いた。
今回、酷似が発覚した一つは義山さんが生徒のサンプルとして作ったもの。生徒が華やかな気持ちになれるようにと、小さな花の配置まで何度も考え直した作品だ。もう一つは北海道のカフェのオープニングスタッフがカフェをイメージして研修で作った作品。「一つひとつ思い入れがあるから悔しい」と吐露する。
「酷似」と知りながら役員も承認して商品化
事業運営会社からメールがあったのは5日後の13日午後4時過ぎ。メールに添付された報告書によると、ケーキの新商品・開発会議には企画担当者や役員ら8人が参加していた。5月19日に開催した会議の中で、企画担当者が持ち寄ったイメージ写真の中に義山さんの作品は含まれており、「あまりにも理想的なもので、このような仕上がりを目指したい」とデザインの方向性を考えていた。しかし結果的に義山さんのデザインを模倣する形になっていたという。
最終的なデザイン決定段階では、会議のメンバーから「さすがに酷似し過ぎではないか」との声もあったが、「大変お恥ずかしいお話ながら、発売の期日が迫っていたという内部事情もあり、部門役員も承認した結果として商品化された」としている。商品は全て販売停止して廃棄。SNS上の投稿も全て削除対応しているという。
ただ、謝罪の言葉はメール文中にはなく、報告書の冒頭の一文だけ。義山さんは「せめて電話で謝罪するなど、対応はもっとあったはずだし、これで許されてしまうのはどうかと思う。クリエイターが嫌な思いをしたことを『フラワーケーキへの愛がある』という言葉で片付けられてしまうのは違うと思う」と話す。
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