日本テレビのドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子(あしはらひなこ)さんが急死した問題で、原作漫画を出版した小学館は3日、社内の特別調査委員会の報告書を発表した。脚本家が交流サイト(SNS)に「最後は原作者が脚本も書きたいと要望。困惑したが、協力した」と投稿したことに、日テレ側が削除を求めなかったと指摘。これに芦原さんが反論を投稿したが、脚本家が思いがけず批判され、「(芦原さんは)責任の重圧を感じたのかもしれない」としている。(川上義則)
◆日テレ担当者が電話も「削除依頼は一切ない」
日テレは5月31日、社内特別調査チームの報告書を発表した。それによると、原作者と小学館が日テレを通じて脚本家に要望したことがかなえられず、原作者が不信感を持ち、ドラマの最終9、10話の脚本は自ら書いた。降板した脚本家はスタッフ名簿に「協力」などで名前を入れるよう求めたが、原作者に認められなかった。脚本家は「名前が入らないなら、SNSに投稿する」と伝えていたが、日テレは「表現の自由がある」と止めなかった。
小学館の調査委に対し、脚本家は「(日テレの担当者から)削除依頼は一切きていない」と答えた。日テレの担当者も投稿の取り下げの相談をしたいと考え、電話をかけるなどしたが、削除は依頼していないとしている。
◆原作者の反論、小学館の上層部にも伝わっていなかった
一方、芦原さんの反論の投稿には、小学館の社員3人が協力していた。SNSによる炎上を心配する人も社内にいたが、報告書は「(社員らは上司に)十分に相談したとはいえず、上司も担当役員まで報告していない」と問題点を挙げた。
このほか、報告書は「(日テレが)原作者の意向を代弁した小学館の依頼を素直に受け入れなかったことが第一の問題と思われる」とも指摘している。
報告書では、再発防止策として、SNS対応の部署や広報室など炎上した場合の責任部局を決めておくことや、相談できる専門窓口の設置などを提案した。その上で「作家や編集者が孤立しないように、会社が盾となって情報発信することを検討するのが望ましい」と提言した。
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