発表翌日、興奮冷めやらぬなか、彼らはパーソナリティーを務めるラジオ番組に生出演するため、ラジオ局を訪れていた。そこで目にしたのは、番組スタッフからデビューのお祝いとして贈られた、それぞれのメンバーカラーに合わせた花束。グループのセンターを務める西畑大吾は「こういうのを見ると、実感が湧いてきますね」と声を弾ませた。
しかし、西畑には喜びと同時に、仲間のジャニーズJr.への思いがよぎっていた。「みんながデビューしていくのを見てきましたし、そういう気持ちもわかるので。声を大にしては言えない」と、複雑な心境を明かした。
8月、メンバーの元にデビュー曲となる「初心LOVE(うぶらぶ)」のデモ音源が届けられた。一生歌い続けていくことなる大切な曲を初めて耳にしたメンバーは「ありがとうございます」と拍手、期待に満ちあふれた表情を見せた。しかし、最年長の藤原丈一郎はデビューを前に「不安の方が大きいですね。もちろん次のステップに行くことは大事ですけど。矛盾していますよね。最初はデビューしたいって目指していたのに、いざ決まると怖いって」と、葛藤する胸の内を明かした。
そんな気持ちを胸に迎えたデビュー曲のレコーディング。サビにつながる大事なパートを任された藤原は、自分の歌唱に満足がいかず、録り直しを繰り返した。実に46回ものリテイクを重ね、ようやく満足のいく歌唱ができた時、思わず親指を立て「粘り勝ちや」と高揚した表情を見せた。
「前までやったらOKってなってたんですけど、自分の中でもっともっといかないとな、と。天井を決めちゃうと、これ以上伸びない感じがして。どれだけやったかっていうのが自信につながると思うので。もっともっと上を目指さないといけないな、と思いました」と、強い覚悟を語った。
デビューまで2ヶ月に迫った9月、彼らはミュージックビデオ撮影に挑んでいた。デビュー曲「初心LOVE」の一生に一度の初恋、そのきらめく世界観を表現する、淡いパステルカラーの大掛かりなセットを前に、リーダの大橋和也は「うれしいことですよね。いろんな人と作れるっていうことが、ひとつの作品になることがすごくうれしい」と喜びを語った。
また西畑は「デビューしたらどうなりそうですか?」というスタッフからの問いに、「もうほんまにわからないですよね。やってみないと。紆余曲折はあるでしょうから。仲良しこよしでグループはできないと思うし、ひとりひとりの尊重であったり、気遣いであったりが今後何年も続いていくわけですから。(信頼を)深めていくことができればいいなと思います」と見据えるのだった。
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