今年で44回目となる夏の風物詩的イベント「Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2022」(主催・読売テレビ)がこのほど、滋賀県彦根市の琵琶湖・松原水泳場で行われた。滑空機と人力プロペラ機の2部門で計24チームが出場。今回は3年ぶりの有観客開催で、湖岸からの熱い応援も追い風に、バードマンが空に舞いあがった。きょう31日午後7時から、日本テレビ系全国ネットで放送される。
「翼を、掴(つか)みとれ。」―キャッチコピーを実践すべく、各チームが高さ10メートルのプラットホームから両翼に思いを乗せて飛び立った。2日間開催で、初日は悪天候の影響で途中中止となったが、2日目の進行を修正し、全チームが無事に飛行を終え、近年まれに見る好内容の大会となった。
読売テレビの山本陽チーフプロデューサー(49)は、一スタッフとして大会に数回携わった経験があるが、真正面から向き合ったのは初めて。1977年から45年続く名物番組を任された。
山本CPは「私がやってきた番組で、ある意味、最も過酷。天候、熱中症…今はコロナのリスクもある。その中で、安心・安全に運営できていることが、この番組のブランドにつながっている」と語った。「10年ぶりの新記録をはじめ、本物のドラマが数多く生まれた、ぜいたくな大会。あまりないことなんですが、プレビューチェック(試写)で思わず感動しちゃって(笑い)」と目じりを下げた。
胸を打つ数々の物語があった。滑空機部門で初出場の「Flap boys」は男子小学生が発起人で、母がパイロットを務めた。「『自分たちが作った飛行機が本当に飛ぶんだ、と子供たちに見せてあげたい』というお母さんの覚悟に感動しました。本当にパワフル」。人力プロペラ機部門の「名古屋大学 AirCraft」のパイロットは幼少の頃から鳥人間になることが夢だった。「彼が子供の頃、自転車に段ボールの羽根を付けている写真があるんです。一人の人生を受け持っている。責任も感じるし、意義深いですね」
同じプロペラ機の「帝京大学 Sky Project」は来日後に大会の存在を知ったマレーシア留学生が機体設計を先導した。「彼は『この経験を母国に帰って皆に教えたい』と語っていました。裾野の広がりを感じます」。今回は開催当日に初めて本格的にYouTubeで生放送を実施。「世界でも興味を持ってもらえるのでは。今後は英語実況も考えられる」と山本CPは未来図を描いた。
10月に始まるNHK朝ドラ「舞いあがれ!」は、ヒロイン(福原遥)が大学時代に人力飛行機サークルに入り、パイロットとして空の魅力を知る物語。「NHKがドラマにするぐらいの認知度。それだけの魅力があるから人間模様が描けるのでは」と山本CPは久々に大会に関わって、鳥人間の神髄を再認識した。「私の想像をはるかに超えて、このコンテンツは進化している。『シン・鳥人間』じゃないですが、既視感があって食わず嫌いな方も見てほしい。心を震わせるようなストーリーが必ずあります」と自信をのぞかせた。
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