8月31日開幕の第70期王座戦5番勝負の挑戦者決定戦が25日、大阪・関西将棋会館であり、先手・豊島将之九段(32)が大橋貴洸六段(29)に123手で勝利し、永瀬拓矢王座(29)への挑戦権を獲得した。豊島は第62期、当時の羽生善治王座に挑み、2勝3敗で敗れて以来8年ぶり2度目の王座挑戦を決めた。
「今期が始まったときには挑戦は難しいのかなと思っていた」。19年に史上4人目の名人竜王に輝いたが昨年、藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖を含む5冠=に竜王と叡王を奪われ、無冠に。「(復調まで)もっと時間がかかると思って長期計画でやっていた。理由は自分でもよく分からない」。本人は苦笑いだが、藤井に挑んで現在1勝2敗の王位戦7番勝負に続く連続挑戦を決め、復調を印象づけた。神戸市で藤井に敗れた第3局から中3日。対局に向けた準備と休養を平行させて臨んだという。
一昨年、叡王戦7番勝負で対戦し、4勝3敗2持将棋(1千日手)と大熱戦を演じた永瀬とは、それ以来のタイトル戦。「鋭い攻めと粘り強い受け。両方を兼ね備えている。厳しい戦いになるが、しっかり準備して臨みたい」。王位戦が第6局まで突入すればダブルタイトル戦となるが、経験豊富な豊島に日程面の不安はなさそうだ。
大橋は5月、挑戦者決定トーナメント1回戦で藤井を破り、その後も勝ち進んでこの日、タイトル初挑戦に王手をかけた。対藤井戦に着目すれば、初対戦から2連敗したがその後4連勝と逆転した「新藤井キラー」。豊島はその藤井に初対戦から6連勝した「元祖藤井キラー」で、元祖が威厳を示した格好だ。
タイトル初挑戦を逃した大橋は「もう少しうまくできたらという内容だった。次に生かして行けたらと思います」と振り返った。
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