多様化する現代を舞台に、“誰かと共に生きる”を考えるドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系/以下『じぞ恋』)がいよいよ最終回を迎える。上野樹里が扮するヨガインストラクターの主人公・沢田杏花が、妻に先立たれた父(松重豊)と共に、“ダブル婚活”に挑むことになる本作。より良い人生を模索する杏花が運命的に出会うのが、田中圭が演じるシングルファーザーの東村晴太だ。
晴太は離婚後、7歳の息子・虹朗(福田楽)と2人暮らしをしている。仕事と家事の両立は難しく、“自分と家族にとっての優しい生き方”を探すため起業セミナーに参加。そこで「自分のヨガスタジオを開きたい」という夢を叶えるべく独立のノウハウを学びに来ていた杏花と知り合い、「結婚願望がない」はずだった2人がお互いにどうしようもなく惹かれ合うことで恋の波乱が巻き起こる。
物語を振り返り、改めて晴太のこれまでを一言で表現するなら“葛藤”だ。
結婚には興味がないが恋愛には前向きで、晴太との距離を縮めようとする杏花と、子供がいる自分と一緒になることで杏花の将来を潰してしまうのではと恐れている晴太。子供ファーストでありながら、次第に杏花への恋心が募る晴太は苦悩する。
久しぶりの王道ラブストーリーへの出演となった田中は、大切にしたい人と理想の生活を守り抜こうとする晴太の理性と内なる声との間で揺れ動く男心を熱演。杏花のことを深く想いながらも、気持ちを抑え込もうと懸命に自分を律する大人の男性としての顔、それでも零れ落ちてしまう杏花を愛する顔、そして虹郎と接する父親としての顔、それぞれに異なる表情を巧みに演じ分けている。
また、普段は穏やかな晴太が、杏花には時として強い口調となる時もあった。第4話で独立するのを止めようか考えている杏花へ告げた「頑張ってください! 頑張らなきゃだめです!」や、第8話で虹朗のお母さんになりたいと言った杏花への「頑張らなくていいです」という言葉は、そのどちらも大好きな杏花の夢を大切に考えてくれるからこその言葉だということが田中の佇まいから痛いほど伝わってくる。
目的地を設定しないバスデートや自然の中の急ごしらえのピクニックデート、そしてオープンエアでの肉まんディナー……。そのどれもで杏花と晴太は素敵な笑顔を交わし合い、相性もばっちりなのが明らかな中での晴太の“やせ我慢”は、かなりぐっとくる。『じぞ恋』では、これまでにあまり観たことのない生真面目で実直な“大人の男”の顔を覗かせる、田中の奥深い演技がふんだんに堪能できるのだ。
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